1.はじめに
社内で深刻なコンプライアンス違反や不祥事が発覚した際、企業には社会やステークホルダーに対する迅速かつ誠実な説明責任が生じます。そのための有効な手段となるのが「第三者委員会」の設置です。
しかし、いざ設置するとなると「何から手をつければいいのか」「メンバーはどう選ぶべきか」「費用はどれくらいかかるのか」など、手探り状態で戸惑う経営層や法務担当者の方も少なくありません。
本記事では、企業の危機管理において重要な役割を果たす第三者委員会の設置方法や実務手順について、専門的な視点から分かりやすく解説します。
2.第三者委員会の構成(委員の選任と調査チーム)
第三者委員会は、単に弁護士や会計士等の専門家を複数名集めればよいというわけではありません。
第三者委員会において客観的かつ適切な意思決定を行うことを念頭に、最適なバランスで選任することが求められます。
- 委員の数
調査方針の決定や報告書の作成といった重要局面では、個人の主観に頼らない合議制(全員一致)が基本とされているため、委員会は複数名で構成するのが適切です。
他方で、人数が多すぎると意思決定が難しくなるため、平均3名~5名程度で構成されることが多いです。
なお、意見が割れた際の多数決を考慮し、総数は奇数にしておくのが実務上スムーズです。
- 委員の選任
委員には、不正調査や不祥事調査の実務経験を有する弁護士、当該事案の関連法令に精通した専門家が選ばれます。
また、事案の性質に応じて公認会計士や税理士、学識経験者などが加わることもあります。
なお、組織の利害関係から離れ、中立的な視点で不祥事の解明や原因分析、再発防止策の発表を行うことこそが、第三者委員会の本質的な役割と考えられます。
したがって、第三者委員会での調査対象となる事項についての相談を過去に受けている弁護士や、従来から顧問料を受領している顧問弁護士などは、第三者委員会における調査等において何らかの影響を受けるリスクがあるため原則として委員には適さないとされています。
また、第三者委員会においては、弁護士を中心に構成される委員の指揮下に直属の「調査チーム(調査担当者、補助者)」を組織することが一般的です。
3.第三者委員会による調査のおおまかな流れ
第三者委員会が発足した後、実際の調査は主に以下の流れで進行します。
第三者委員会による調査では、「何が起きたか」という事実関係に留まらず、不祥事を生み出してしまった「コンプライアンス意識の欠如」や「歪んだ企業風土」といった背景原因まで切り込むことが求められます。第三者委員会による調査は、おおむね以下の流れで進みます。
調査スコープの決定
↓
資料の収集・分析および調査対象者へのヒアリング
↓
不祥事の原因、背景事情の分析、事実の評価
↓
調査報告書の作成・公表
4.具体的に何を準備すればいい?【企業が取るべき3つのステップ】
社内でコンプライアンス違反が発覚し、第三者委員会を設置することになった際、
企業側が具体的に進めるべき実務の手順を3つのステップで解説します。
ステップ1
第三者委員会の設置に対応可能な弁護士を探す
第三者委員会に対応可能な弁護士をインターネット等で検索する、自社の顧問弁護士等の第三者に「適任となる他の弁護士(専門家)の紹介」を依頼する等の方法により、第三者委員会の設置に対応可能な弁護士を探します。
第三者委員会の設置は基本的に不祥事等、会社の秘密情報に紐づく事項のため、第三者(契約等により自社との関係で守秘義務を負わない第三者を指します。)に弁護士の紹介をお願いする場合は、うっかり会社の秘密情報を漏らしてしまわないように、事案の内容をどこまで共有するかにも留意したいところです。
ステップ2
各委員との「個別委任契約」の締結
第三者委員会自体は法人格を持たないため、企業は各委員と個別に委任契約を締結します。
ステップ3
協議による「調査事項(スコープ)」の確定
委員会発足後、企業と第三者委員会は協議の上で調査対象とする事実の範囲(調査スコープ)を決定します。調査スコープは、不祥事の原因解明と再発防止策の提言を通じた企業の説明責任の履行という第三者委員会設置の目的を達成するために必要十分なものでなければならないとされています。
以上の流れを経て調査スコープが決まったら、第三者委員会が別途決定するスケジュールに沿って調査が開始されます。
一般的には、第三者委員会による報告書提出までおおむね2〜3か月前後行われます。
5.まとめ ~専門家への相談が解決への近道です~
社内でコンプライアンスに関わる重大な不祥事が起きたとき、初期対応の成否がその後の企業の命運を分けます。
第三者委員会の設置は、企業の自浄作用を社会に示すための有効な手段ともなり得るものですが、その構成や選任プロセス、独立性の担保など留意すべき事項もあります。安易な対応で「形だけの委員会」と世間から批判されないためにも、まずは信頼できる専門家へ早期にアクセスすることが解決への確実な近道となります。
不祥事対応・内部調査の体制構築、および「第三者委員会」の設置に関するスキームのご相談は、GVA法律事務所「第三者委員会チーム」へ。
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