
最近よく耳にする「パブリックアフェアーズ」という言葉。「パブリックアフェアーズとは何だろう?」「GVA法律事務所では、どのような法務サポートが可能なの?」という疑問にお答えするため、本記事ではパブリックアフェアーズについて、解説させていただきます。
1.はじめに
(1)パブリックアフェアーズとは
「パブリックアフェアーズ」とは、企業等の民間団体が、政府や世論に対して行う、社会の機運醸成やルール形成のための働きかけ活動のことをいいます。
企業と社会とのかかわりが増えるなか、企業が実施するビジネスにも「公共性」が求められています。具体的には、社会課題や問題の解決を意識したビジネス内容が求められます。
また、企業側も、変化する社会に合うビジネスを実現できるよう、政治・行政に対して、新たな規制やルールメイキングを求める動きがあります。ビジネスの実現を見据えて、より適切な社会の変化に合わせた改革を求めるのです。このような動きが「パブリックアフェアーズ」に繋がっているのです。
(2)パブリックアフェアーズの目的
それでは、具体的には、どのような目的で「パブリックアフェアーズ」が実施されるのでしょうか。
スタートアップ企業や新規サービスを開発する部署において、新しい市場や新しい技術の普及は、サービス展開に必須のものとなります。昨今のビジネスの進展をみても、すさまじいスピードでビジネスが進展しているし、またビジネスの実現に対する社会のニーズも高い、それにもかかわらず、従来からある規制やルールに抵触するために、そのままではビジネスを実現できないという事態が生じています。現規制に沿ったビジネスモデルに設定し直す、または規制緩和や新たなルールを構築するという動きが必要となります。ビジネスも社会のニーズも変化しているのに、規制やルールがそれに追いついていない、ミスマッチが生じている状況といえます。
このような状況において、適正な内容で、公益性と公共性を保ったビジネスと規制のバランスを創出することを目的として、企業などは、政治や行政に対して、規制改革や新しいルールの整備を求めるのです。
具体的には、政府関係者へのロビイング活動、メディアへの働きかけ、専門機関と連携しての調査や論文発表等、手段や方法は様々あります。自社のビジネスを実現するため、どのような動きが必要なのか、どこに働きかけるのか、具体的なゴールを見据えて活動します。
2.事例
「パブリックアフェアーズ」として有名なもののひとつに、電動キックボードのシェアサービス事業の活動が挙げられます。
2023年7月1日、改正道路交通法の施行によって、特定小型原動機付自転車という新たな車両区分が設けられ、電動キックボードをはじめとする電動小型モビリティ専用の交通ルールが初めて定められました。
ルールメイキングに向けた具体的な動きとしては、
・規制のサンドボックス制度の認定を受けて実証計画が認定される
・実証実験の結果を定期的に主務省庁へ提出して、電動キックボードのシェアリング事業の実施に向けた検討を進める
・規制の特例措置の整備に関する要望を出し、これに対する回答を得る
等様々な内容や過程が見られます。
また、新事業特例制度の認定を受けてビジネスを展開し、改正道路交通法の施行までたどり着いたことがわかります。
その他にも、オンライン診療の導入や広がりも、「パブリックアフェアーズ」の成功事例として有名です。この先も様々な事例が出てくることが予想されます。
3.法務サポートの重要性
社会に合うビジネスの展開はひとつではありません。
現在の法規制をふまえたビジネスモデルを設定したり、スキームを構築することもひとつの方法です。また、2.の例のように、ルールメイキングを実現して、ビジネスを進展することもひとつの方法です。
前者では、現在の法規制の内容や解釈を分析・精査して、適格にビジネス展開をサポートすることが重要です。後者では、適当なタイミングで、適当な官公庁や業界団体に対して働きかけることも重要です。政治・行政に対して実施する働きかけはひとつではありません。ロビイング活動の他、グレーゾーン解消制度、規制のサンドボックス制度等、様々なものがあります。また、この際、会社の広報と連携したり、ブランディングを考慮して、しっかりと自社のビジネスを実現することも重要です。
4.GVA法律事務所でサポートできること
GVA法律事務所では、多くのスタートアップ企業や先端分野のビジネスをサポートしてきました。新規ビジネスの実現のためには、長期の視点をもった、寄り添ったサポートが必要と考えます。これまでのサポート経験を活かし、自社の新サービスを普及させたり市場を広げたい会社様、法規制対応にどう向き合うべきか悩まれる会社様のご相談をお伺いし、ビジネス実現に向けた法務サポートをさせていただきます。
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