【弁護士解説】フィリピンにおける取締役会手続の概要

執筆:弁護士 金子 知史、弁護士 水谷 守国際チーム

 フィリピンで会社を経営するにあたって、取締役会の手続について知っておく必要があります。そこで、今回は取締役会の手続について、①法定されている手続の概要や招集通知に記載すべき事項、②リモートでの取締役会の参加、③取締役会を省略できる場合の順にご説明します。

第1 取締役会の手続

 取締役会の手続については、フィリピンの会社法(以下、単に「会社法」といいます。)において規定されており、以下はその例となります。付属定款により異なる要件を定めることも可能です。

1. 通知期間 :2日以上前

2. 定時役会の開催頻度 :毎月開催

3. 定足数:過半数以上

 

 なお、取締役会はフィリピン国外でも行うことができます。また、招集通知に記載すべき内容もいくつかご紹介します。

  1. 日時と場所

  2. 議題

  3. 秘書役等の連絡先

  4. 会議の録画、録音が行われること

  5. リモートでの参加ができること

  6. その他、リモートによる会議への参加を容易にするための指示

第2 リモートでの取締役会への参加

 フィリピンでは一定の条件のもとでリモートでの取締役会の参加を認めています。取締役会にリモートで参加するためには、取締役はその意思を議長と秘書役に通知する必要があり、さらに秘書役はその旨を議事録に記載する必要があります。

 また、リモートで参加する取締役がいる場合、秘書役は例えば以下の業務を行う必要があります。

  1. リモートでの会議の実施に適切な機器や設備が利用可能であることの確認

  2. 会議中、参加者が、他の参加者の声を聞くこと、さらには他の参加者の姿をはっきりと見ることができるようにすること

  3. 録音、録画が確保されていることの確認

  4. 映像および音声の記録を安全に保管すること

  5. リモートでの参加者に対し、取締役会終了後合理的な時間内に、署名が実行可能な場合、議事録に署名することを義務付けること

第3 取締役会の省略方法

 基本的に取締役会を省略することはできません。他方で、例外的にClose corporationsという日本における非公開会社に近い会社形態の場合には、全取締役が書面により同意する場合など、一定の条件により取締役会を省略することができます。

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