【弁護士解説】フィリピンのThe Extended Producer Responsibility Act(生産者責任拡大法)を紹介

執筆:弁護士 水谷 守国際チーム

第1 はじめに

 近年サステナビリティが注目されていますが、フィリピンもこの観点から企業に対して環境に配慮した活動を求めています。この一環として、フィリピンでは2022年にThe Extended Producer Responsibility Act(以下、「生産者責任拡大法」といいます。)が制定され、この法律は日系企業にも影響を及ぼすものであると考えられます。本稿ではこの生産者責任拡大法の概要をQ&A方式で簡単に紹介します。

第2 Q&A

1. Q:生産者責任拡大法はどのような企業に適用されますか?

    A:プラスチック包装の廃棄物を出す企業で、①総資産が1億ペソを超える場合(融資から生じる資産は含みますが、その企業のオフィス、工場、設備が置かれている土地は除きます。)、または②同じブランド、ラベル、または商標を保有するすべての企業の資産総額が1億ペソを超える場合。

2. Q:プラスチック包装とは?

    A:輸送、流通、販売のための商品の運搬、保護又は梱包に試用される製品をいい、以下のものが含まれます。

  • 個包装、ラベル、ラミネートなどの軟質のプラスチック包装製品(単層またはプラスチックや他の素材と積層されているもの)

  • 硬質プラスチック包装製品(他の素材と積層されているものを含む)

  • ビニール袋

  • ポリスチレン

3. Q:対象となる企業はどのような責任を負いますか?

     A:EPR(Extended producer responsibility)プログラムを設定・段階的に導入して、National Solid Waste Management Commissionにこのプログラムを報告する必要があります。ここでは、目標を達成するために、期間内に市場に流通したプラスチック包装の量や、リサイクル等を行うプラスチック包装廃棄物の目標量等を設定したうえで、遵守状況等を報告する必要があります。

4. Q:ERPプログラムにおける注意点は?

     A:生産者責任拡大法によって、直前1年間に発生したプラスチック製品フットプリントの回収目標が設定されており、企業はこの目標を達成する必要があります。

  • 2023年12月31日まで・・・20%

  • 2024年12月31日まで・・・40%

  • 2025年12月31日まで・・・50%

  • 2026年12月31日まで・・・60%

  • 2027年12月31日まで・・・70%

  • 2028年12月31日まで、その後毎年・・・80%

5. Q:遵守しなかった場合のデメリットは?

     A:罰則があります。

第3 おわりに

 以上、簡単に生産者責任拡大法を紹介しました。この法律が制定されたように、フィリピンはサステナビリティに対して前向きであることから、他にも今後このような環境保護のための法律が制定されるのではないかと思われます。

第4 文献

文献は全て2024年3月31日に閲覧しました。

The Extended Producer Responsibility Act

執筆者

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