
執筆:外国弁護士(マレーシア)(Not admitted in Japan) サイフル アジズ(国際チーム)
マレーシア政府は、2009年より、マレーシアへの投資を促進するため、サービスセクターへの外資参入を段階的に自由化してきました。この自由化により、マレーシアにおける一定のサブセクターの企業について、外国人・企業による保有が解禁され、外国人・企業が100%保有することが可能となります。この自由化によるインセンティブを強めるため、政府は外国投資委員会(FIC)のガイドラインも撤廃されました。このガイドラインの撤廃により、外国人(法人)によるマレーシア企業の合併、承継、買収につき、FICの承認は不要となります。
ただし、依然として、自由化されたサブセクターに対して、各セクターの政府当局による承認と規制権限は及びます。この規制には、高額の資本払込みや事業開始前の承認が含まれます。例えば、流通販売業においては、外国人(法人)が50%を超えて保有する会社は、事業開始前に、Ministry of Domestic Trade and Consumerismから、卸売・小売業許可(Whole sale Retail Trade License)を取得する必要があります。
現在、健康・社会福祉、旅行、輸送、環境、ビジネス・専門家、教育、コンピューター関連のサブセクターが自由化されています。詳細は以下のとおりです。
1.コンピューター関連業
コンピューターのハードウェア導入、ソフトウェア実行、データ処理、データベースサービスに関連するコンサルテーションサービス、コンピューター保守サービス
2.健康・社会福祉業
獣医、高齢者及び障がい者に対する住宅制度を通じた福祉サービス、子どもに対するデイケアサービス、障がい者に対する職業リハビリテーションサービス
3.旅行業
テーマパーク、コンベンション・エキシビションセンター、旅行代理店、ホテル・レストラン、飲食店
4.輸送業
C種貨物業
5.スポーツ及びレクリエーションサービス
スポーツイベントの振興・組織
6.ビジネスサービス
地域流通センター、国際調達センター、技術的試験・解析、経営コンサルテーション
7.レンタル・リース(オペレーターを除く)
船舶のレンタル・リース(沿海航行、外国間貿易を除く)、国際輸送のための乗組員のいない貨物船(裸用船)のレンタル
8.補助的輸送業
海事サービス、船舶引き上げ
9.専門業
会計・監査・税務、建築設計、エンジニアリング、法律、数量計算
10.配達業
宅配、手紙・荷物・小包の配達
11.流通販売業
百貨店、専門店
12.環境サービス
焼却(廃棄物処理その他)
13.保健医療サービス
個人病院、医療専門家、歯科医
14.教育サービス
私立大学、インターナショナルスクール、専門学校、障がい者専門学校、職業訓練センター
15.通信業
アプリケーションサービスプロバイダ
