【弁護士解説】フィリピンにおける文書の保存義務

執筆:弁護士 金子 知史、弁護士 水谷 守国際チーム

(1) 文書の保存義務

 フィリピンの法律は、企業に対して文書の保存義務を課しています。以下は、保存義務がある文書の一例です。

 

文書

保存期間

設立に関する文書(定款等)

 期間の定めなし

株主リスト

株主総会議事録

取締役の名前と住所

取締役会議事録

商取引の記録

会計帳簿

以下から起算して5年(一部例外あり)
①記録の提出期限の翌日
②提出期限を過ぎて提出された場合は、実際の提出日の翌日

(2) 電子での書類の保存

 会社法によって保存が義務付けられている文書は、保存方法が指定されていないため、基本的には電子で保存することができます。他方で、公証人によるノータライズが必要な定款等の書類は、その性質上ハードコピーを作成する必要があります。また、会計帳簿も基本的には電子で保存することができます。

(3) 保存規定に違反した場合の罰則

 保存規定に違反した場合、フィリピンの法律では罰則規定が設けられています。たとえば、会社法では、会社が記録を適切に保存していなかった場合、10万PHPから40万PHPの罰金が科されます。

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