中国(海南)自由貿易試験区の紹介

中国(海南)自由貿易試験区の紹介

中国律師(Not admitted in Japan)李 昱昊

 

 

10月31日、日本との更なる経済交流、産業提携を強化し、投資家による中国(海南)への投資を誘致するために、中国海南省経済貿易代表団が来日し、中国(海南)自由貿易試験区(東京)説明会が開催されました。海南省人民政府省長 瀋暁明氏、駐日中国大使 程永華氏、日本元経済産業大臣 林幹雄氏、日本元外務副大臣 山口壯氏、日本貿易振興機構理事 水井修氏、また日中機構の代表など300人近いゲストが説明会に出席され、弊所もお招き頂き説明会に参加しました。

 

今年は、中国改革開放から40周年にあたり、また、海南省設立及び経済特区設置から30周年にあたります。説明会で瀋暁明氏は、30年間海南経済特区は改革を絶えず推し進め、経済社会の著しい発展・成長を遂げ、さらに、国際非営利組織ボアオ・アジアフォーラムの発足により世界から注目され、現在は、国際観光島から国際自由島へ着実に歩んでいると述べました。

 

なお、今年4月13日に行われた海南省と海南経済特区の30周年を祝う大会で、中国国家主席習近平氏は、「海南の全島を挙げての自由貿易試験区の建設を支援し、海南が中国の特色ある自由貿易港の建設を段階的に模索し、緩やかに推進することを支援する。世界中の投資家が海南に投資し、事業を興し、海南の自由貿易港建設に積極的に参加し、中国の発展チャンスを共有し、中国の改革成果の恩恵に共にあずかることを歓迎する。」と述べました。

 

海南省は中国の最南端に位置し、最大の経済特区及び最も人気のあるトロピカルシーサイドリゾート地です。自由貿易試験区は観光、育種、医療、教育、スポーツ、通信、インターネット、文化、金融、航空・海運、新エネルギー自動車などを重点分野として、先端農業、ハイテク産業、先端サービス業の更なる対外開放とサービス貿易業の加速発展を推進しています。海南自由貿易試験区は、具体的に以下の分野において、対外開放のための制度整備と措置を講じられており、その中には、日本の起業家にとって進出する可能性が高い分野も含まれています。以下においてその詳細をご紹介します。

 

 

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■ 中央政府から支援が受けられる海南省の重点分野

中国中央政府から政策や財政の面で重点的な支援を受ける以下の分野は、これから海南省発展の方向と指針といえます。

 

1)国際エネルギー、船舶輸送、大口商品・財産(原油・鉄鉱石・非鉄金属・農産物など)、株式、二酸化炭素排出権など取引場所の開設と成熟した制度体系の形成。

2)次世代情報技術産業とデジタル経済の発展、インターネット、IoT、ビックデータ、衛星ナビゲーション、AIと実体経済との融合。

3)国家南繁科研育種基地の建設の強化、天然ゴムをメインとする国際熱帯農産物取引センター、価格センター、価格指数発表センターの構築、熱帯農産物競売センターの設立。

4)重要科学技術基地施設及びプラットフォームの建設、宇宙分野重要科学技術イノベーション基地と国家深海基地南方センターの建設、宇宙空間科学技術イノベーション戦略高地の建設。

5)科学技術イノベーション管理制度と国際科学技術提携メカニズムの構築。国際オフショアイノベーション創業モデル区の設立。

6)現代化海洋牧場の建設、「Smart Ocean」(海南省政府が打ち出した科学技術による海洋開発と建設という発展目標)の建設と推進。海洋資源開発サービスと補給基地と海上救援基地の建設。

7)ナショナルパークの展開、熱帯雨林国家公園の建設。

8)国際的大型商業施設の建設、「インターネット」消費生態システム(海南省政府が打ち出したインターネットによる商取引のシステムという目標)の完備、「スマート店舗」、「スマート施設」の建設。越境ECサービス機能の完備。

9)ボアオ楽城国際医療旅行先行区における国際医療旅行とハイエンド医療サービスの発展。幹細胞臨床フロンティア医療技術研究プロジェクトの展開。

10)海外から高水準教育リソースの導入、中外合作教育機関とプロジェクトの展開。

11)国家体育訓練南方基地と省レベル体育センターの建設、ビーチスポーツ、水上スポーツ、競馬などプロジェクトの展開、国家体育旅行モデル区の構築。

12)グローバル企業、国内大手企業グループによる海南に国際本部と地域本部の設立に対する推進。

13)グローバル企業、貿易企業によるグローバルまたは地域的な貿易ネットワークの構築、地域的オフショア貿易センターの構築。

14)国際商品展覧会、国際映画祭、中国(海南)国際海洋産業展覧会など大型国際展示会、祝祭活動及び文化旅行、国際ブランドなど海南の産業特徴に相応しい展示会の開催。

15)「一帯一路」の国と科学技術や人文を巡った交流、共同実験室の建設、科学技術パーク提携、技術移転など科学技術関連のイノベーション提携の推進。「一帯一路」の国による海南における領事機関の設立。

16)越境EC、補修産業などのグローバル的な発展、越境EC総合試験区の設立、税関による監督管理、金融、物流など支援体系の建設、越境EC小売輸入ネットショッピング保税業務の展開。

17)税関特別監督管理エリアにおける国際文化芸術品取引場所の設立、グローバル向けの保税文化芸術品、競売、取引業務の展開。

18)国際運行船舶保税ガソリン供給業務の展開、保税ガソリン供給基地の建設。

19)知的財産権取引センターの設立、知的財産権運営サービスシステムの建設。

※以上、海南省商務庁作成の「海南自由貿易試験区外資誘致宣伝マニュアル」を参考

 

 

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■ 海南自由貿易試験区が開放をより一層拡大するための措置

日本企業を含めた外国資本に対する規制の緩和を推進することは、海南自由貿易試験区における対外開放政策の重点施策と言われています。具体的には、以下の分野において、ネガティブリスト方式により、国全体の外資規制緩和に加えて海南自由貿易試験区による独自の優遇政策が検討又は実行されています(ネガティブリスト方式は、規制分野が限定的に列挙されるため、外資が参入しやすい政策といえます)。

 

【一】 外資に対し全面的な参入前国民待遇に加え、ネガティブリスト方式の実行

1)中国『自由貿易試験区外商投資参入許可特別管理措置(ネガティブリスト)(2018年版)』を全面的に実施する。自由貿易試験区ネガティブリストは2013年版の190条から2018年版の45条の措置まで縮小した。参入許可が必要となる分野の比率は、経済全体のうち5%未満である。ネガティブリスト以外の領域について、内外資一致の管理原則に従って、外商投資企業の設立と変更に対し届出制度を実施。

【二】 取消類開放措置

2)新しい野菜品種の育成及び種子生産に対する外資持分率制限を取り消す。

3)外資保険会社がその関連企業と出再保険と受再保険業務に従事してはならないという制限を取り消す。

4)ファイナンスリース会社が海南自由貿易試験区において特殊目的子会社を設立する際の登録資本金の制限を取り消す。

5)国内マルチパーティ通信サービス業務、ネットユーザーによるインターネットアクセスサービス業務、ストアアンドフォワードサービス業務に対する外資持分率制限を取り消す。

6)公演仲介機関に対する外資持分率制限を取り消す。

7)船舶(その一部を含む)並びに幹線飛行機、支線飛行機及び汎用飛行機の設計、製造及び補修における外資持分率制限を取り消す。

8)国際海上運送会社、国際船舶代理会社における持分率制限を取り消す。

9)新エネルギー自動車製造への外資参入制限を取り消す。

10)海南自由貿易試験区において海南のためにサービスを提供する外資工事設計(工事探査を含まない)企業に対し、資格初回申請時の出資者に対する工事設計実績要求を取り消す。

11)通信販売及び一般商品のネット販売への外資投資に対する制限を取り消す。

12)外商投資医療機関の最低投資総額及び経営年数に対する制限を取り消す。

【三】 緩和類開放措置

13)生命保険会社に対する外資持分率制限を51%まで緩和する。

14)外資による健康医療保険専門機関の設立を緩和する。

【四】 許可類開放措置

15)条件を満たす外資金融機関による外資銀行の設立を認める。

16)条件を満たす民間資本と外資金融機関による中外合弁銀行の共同設立を認める。

17)海南自貿試験区において設立された条件を満たす中外合弁旅行会社が、台湾地区以外の出国旅行業務に従事することを認める。

18)外商投資の文芸演出団体(中国側がマジョリティを持つ)を認める。

19)外資企業が遊戯遊芸設備の生産と販売に従事することを認め、文化主管部門によるコンテンツ審査を通った遊戯遊芸設備は国内市場向けに販売することができる。

20)外商独資の娯楽場所を開設し、海南自由貿易試験区においてサービスを提供することを認める。

21)外商による国内インターネットのバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)業務への投資を認める(外資持分率は50%を超えないものとする)。

22)外商独資国際船舶管理企業の設立を認める。

23)外商が独資で豪華客船、ヨットの設計に従事することを認める。

24)外商が独資で航空運送販売代理業務に従事することを認める。

25)自由貿易試験区において設立された外商独資建築業企業がプロジェクトにおける外資投資比率の制限を受けずに、試験区内の建築工事プロジェクトを請け負うことを認める。

26)中国一級公認建築士または一級公認構造エンジニア資格を取得した外国籍個人がパートナーとして、相応した資格基準に求められたように建築工事設計事務所を開設することを認める。

27)外商投資与信調査会社の設立を認める。

28)中外合弁人材仲介機関の設立を認め、外国合弁者は70%を越えない持分を保有することができる。

29)中外合作経営性(営利的)教育トレーニング機関の開設を認める。

30)中外合作経営性(営利的)職業技能トレーニング機関の開設を認める。

(上述一部の開放措置は急いで策定中です。)

※以上、海南省商務庁作成の「海南自由貿易試験区外資誘致宣伝マニュアル」を参考

 

以上、紹介した海南自由貿易試験区の重点支援分野と外資緩和政策は、日本企業の海外投資戦略に資するものが多数含まれていると思います。中国進出をする際には、海南自由貿易試験区の政策優遇を積極的に利用することも検討に値するものと考えます。

 

海南自由貿易試験区における法律と政策の詳細に関するお問い合わせは、GVA法律事務所までご連絡ください。

 

 

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