タイの価格表示について

タイの価格表示について

弁護士 藤江 大輔/Daisuke Fujie

 

■ はじめに


タイに限らず、事業をしていると、「小さなことなんだけど、これってどうなっているんだろう?」と思うことはよくあります。こういうことは、案外経営者の方の時間を奪ってしまうもので、積み重なるとバカにならないコストになっていることがあります。ましてや調査するリソースが限られているタイではなおさらで、我々としては、そういう部分を解消しつつ、在タイ企業のスピーディな事業展開をサポートしていきたいと考えています。

 

そこで今回は、そういう疑問による事業コストを少しでも減らす目的で、「タイで商品を表示する時の価格表示のルール」を解説します。

 

 

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■ タイの商品価格法について


タイには、商品価格の表示方法について、「商品価格法」(THE PRICE OF GOODS AND SERVICES ACT)という法律が存在します。この法律は、商品価格表示の在り方について、商品価格委員会(CCP)という機関に一定の権限を認め(第24条)、CCPが告知・通達を行う形で価格表示の在り方を規制しています。

 

Price of Goods and Service Act B.E. 2542 section 24

In order to prevent unfair determination of purchase price, distribution price or conditions and trade practices, the CCP(The Committee on the Price of Goods and Services), with the approval of the Council of Ministers, shall have the power to issue a Notification prescribing any goods or services as controlled goods or services.

 

 

■ 商品価格表示に関するCCP告示


上記の法令に従って、CCPは、商品価格表示について、以下のようなルールを通達しています。

 

1.紙材、木材その他の材質上に、書き込むかプリントすることによって価格を表示しなければならない。

2.商品若しくは販売場所又はその付近に価格を表示しなければならない。商品の性質上価格を表示できない場合は、消費者がアクセス可能なオープンエリアに価格を表示しなければならない。

3.直接的かつ明確で、理解しやすいアラビア数字と共に表示する場合は、どの国の言語であっても価格表示に利用できる。アラビア数字を使用しない場合であって、価格表示に他国の言語を利用するときは、タイ語表記を併記しなければならない。

4.通常価格又は通常料金を超える追加料金を請求しようとする場合には、その追加料金が、通常料金とともに明確に表示されていなければならない。

5.商品又はサービスの価格の表示は、表示されている価格よりも低い価格で販売される場合を除き、その商品又はサービスの価格との正確な価格でなければならない。

 

中でも注目しておくべきは3・4でしょうか。3は、アラビア数字を用いない場合には、価格表示中に、タイ語を必ずつけることを求めています。4は、表示されている価格に加えてVATなどが付く場合には、消費者が理解できるようにその旨を明確に表示するよう求めています。

 

 

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■ 「+++」表示の位置付け


日本で見かけることは少ないですが、タイのレストランやホテルで、「一人〇〇バーツ」というような表記がされている場合(ビュッフェ形式の食事など)、価格の横に「++」や「+++」等の記号が書かれていることがあります。これは、記号の数によって、表示価格に数種類の追加料金が生じるということを意味します。例えば、VATが追加されるだけなら「+」1つ。VATとサービス料が追加されるなら、「++」と2つ表示されるという具合です。

 

しかし、この表記は、慣習によって成立している表記であって、法令上の表記方法ではありません。したがって、上記CCP告示において価格表示についての一般的な定めがされていますが、この中には「+++」等の表記の扱いについては出てきません。

 

 

■ Department of Internal Tradeによるガイドライン


上記のとおり、「+++」等の表記は法令上の根拠はなく、法令において直接規制されているわけではありませんが、本規制違反を監督するDepartment of Internal Trade(DIT)が、ガイドラインの中で「+++」等の表記に触れています。

 

DITは、近時レストラン等に使用される「+++」等の表記について誤解を招きやすいとのクレームが増加してきたために、同表記については、以下の指針を告知しています。

 

ビュッフェ又は1人当たりで値段を決定している食事

価格は、VATとサービスチャージを含む正味価格の形式で表示しなければならない。「+++」等を使用して価格を表示し、適宜変更させる事業者は、「正味価格は〇〇バーツである」というような形で、「+++」等を使用した価格と正味価格の差を消費者に知らせなければならない。

 

このルールは2010年6月1日からホテルに併設されたレストランや飲食店に対して適用されています。そのため、「+++」等の表記がある場合には、その横に「net〇〇Baht」などという形で正味価格を表示する形態を取っているホテルなどが多いように思います。

 

ちなみに、ホテルに関していえば、同じガイドラインの中で、「ホテル料金については、正味価格又は最終価格を表示しなければならない。」とされているので、宿泊業を営む場合には、「常に最終価格を表示しなければならないんだな」と捉えておくと良いでしょう。

 

今回は、タイの価格表示について解説してみました。これに限らず、事業運営上の小さな疑問は尽きることがないと思います。今後もこういう情報は積極的に配信していきますので、もし日々の調査確認にお困りの際はお気軽にGVAまでご相談下さい。

 

 

 

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