医療法等改正の概要-各医療関係職種の専門性の活用

医療法等改正の概要-各医療関係職種の専門性の活用

執筆:弁護士 鈴木景弁護士 藤村亜弥

 

 

1.はじめに

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する観点から、各医療関係職種の専門性の活用もすすめられます。専門性の活用をはかるため、令和3年10月1日に施行される医療関係職種の業務範囲の見直しと、①共用試験合格を医師国家試験の受験資格要件とし、②共用試験に合格した医学生が臨床実習として医業を行うことができる旨を明確化するという、医師養成過程の見直し(①は令和7年4月1日、②は令和5年4月1日施行等)がなされることになります。

 

 

2.医療関係職種の業務範囲の見直し

 医師の労働時間短縮に向けて、タスクシフト/シェアを推進し、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を活かせるよう、各職種の業務範囲の拡大等が行われます。
 該当する職種は、①診療放射線技師、②臨床検査技師、③臨床工学技士、④救急救命士の4職種です。
 各職種において拡大される業務範囲は、以下のとおりです。

 

(1)診療放射線技師

 RI検査の一連の流れにおいて診療放射線技師が行いうる行為は、法改正前は撮像のみとされていました。
 これに対し、法改正により、静脈路確保、RI検査医薬品の投与、撮像及び抜針、止血までの一連の流れにおける全ての行為が可能になりました(診療放射線技師法第24条の2第1号)。

 

 

 また、法改正により、医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、病院又は診療所以外の場所に出張して行う超音波検査も診療放射線技師の業務範囲となります(診療放射線技師法第26条2項4号)。

 

(2)臨床検査技師

 超音波検査の一連の流れにおいて臨床検査技師が行いうる行為は、法改正前は超音波検査のみとされていました。
 これに対し、法改正により、造影剤の注入、超音波検査及び抜針、止血までの一連の流れにおける全ての行為が可能になりました(臨床検査技師等に関する法律第20条の2第1項1号乃至4号)。

 

 

 また、法改正により、採血に伴い静脈路を確保し、電解質輸液(ヘパリン加生理食塩水を含みます。)に接続する行為及び静脈路を確保し、成分採血装置を接続・操作する行為、終了後に抜針及び止血する行為も臨床検査技師の業務範囲となります。

 

(3)臨床工学技士

 法改正により、下記の行為が臨床工学技士の業務範囲に含まれるようになります(臨床工学技士法第37条1項)。

  • 手術室等で、生命維持管理装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続するために静脈路を確保し、それらに接続する行為
  • 心・血管カテーテル治療において、身体に電気的負荷を与えるために、当該負荷装置を操作する行為
  • 手術室で行う鏡視下手術において、体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラを保持し、術野視野を確保するために操作する行為

 

(4)救急救命士

 現行法上、医療機関に搬送されるまでの間(病院前)に重度傷病者に対して実施可能な救急救命処置について、法改正により、救急外来においても実施することが可能とされます(救急救命士法第44条2項、3項)。なお、ここにいう「救急外来」とは、救急診療を要する傷病者が来院してから入院(病棟)に移行するまで(入院しない場合は帰宅するまで)に必要な診察・検査・処置等を提供される場のことを指します。

 

 

3.医師養成過程の見直し(医師法、歯科医師法)

 医師養成過程について、従前より、卒前教育と卒後教育は分断され、連続性が乏しいと評されてきたところですが、医師が習得すべき知識・技術が増加していることや、プロフェッショナリズム教育の重要性が増していることなどから、卒前教育においても医学生が診療に参加し、医療現場を中心として一貫して行う必要性が指摘されています。
 そこで、今回の医療法改正に伴い、

  1. 医師国家試験の受験資格における共用試験合格の要件化(医師法第11条1項1号、歯科医師法第11条1項1号)と
  2. 医学生が臨床実習において行う医業の法的位置づけの明確化(医師法第17条の2第1項、歯科医師法第17条の2第1項)

がされることになりました。

 

(1)医師国家試験の受験資格における共用試験合格の要件化

 公益社団法人「医療系大学間共用試験実施評価機構」が実施する「共用試験」(臨床実習前OSCE、CBT)については、平成17年から正式に実施され、現在は、全ての医学生が受験するなど、大学における医学教育の中で臨床実習前に医学生の知識・技能を試験する機会として確立されています。
 今回の法改正により、大学における医学教育の中で重要な役割を果たしている上記「共用試験」について、医師法上、医師国家試験の受験資格の要件として位置づけられることになります。
 また、共用試験の合格は医学生が一定水準の技能・態度レベルに達していることを担保するものであることから、共用試験に合格していることが臨床実習において医業を行うための要件となります。
 医師国家試験の受験資格における共用試験合格の要件化は、令和7年4月1日から施行され、医師だけでなく、歯科医師も同様に要件化に関する改正法が令和8年4月1日から施行されます。

 

(2)共用試験に合格した医学生が臨床実習として医業を行うことができる旨を明確化

 医師法第17条により、医師でないものも医業は禁じられているところ、医師免許をもたない医学生が大学にける臨床実習で行う医行為については、その目的・手段・方法が社会通念から見て相当であり、医師の医行為と同程度の安全性が確保される限度であれば基本的に違法ではないと考えられてきました。
 一方で、大学が行う臨床実習については、診療参加型の実習が十分に定着しておらず、その要因として、医学生が臨床実習で行う医行為についての法的な担保がなされていないことが指摘されてきました。
 そこで、今回の法改正では、医学生がより診療参加型の臨床実習において実践的な実習を行うことを推進し、医師の資質向上を図る観点から、共用試験に合格した医学生について、医師法第17条の規程にかかわらず、大学が行う臨床実習において、医師の指導監督の下、医療に関する知識及び技能を修得するために医業を行うことができることが明記されました。
 共用試験に合格した医学生が臨床実習において行う医業の法的位置づけの明確化は、令和5年4月1日から施行され、医師だけではなく、歯科医師も同様に明確化に関する改正法が令和6年4月1日から施行となります。

 

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