「プログラム医療機器」該当性判断・「医行為」該当性判断とは? ~ヘルステックお悩み相談室(2)~

「プログラム医療機器」該当性判断・「医行為」該当性判断とは? ~ヘルステックお悩み相談室(2)~

執筆(担当弁護士):弁護士 早崎智久弁護士 吉岡拓磨

 

弊社では、患者さんの患部の写真やレントゲン、エコー(超音波)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像を、弊社が開発したプログラムを通じてAIで解析することにより、疾病の検査を行うサービスの実施を検討しているのですが、このようなサービスを行う場合、法務の観点ではどのような点に気を付けた方がいいでしょうか?

 

<回答>

貴社のサービスで利用されるプログラムが、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」といいます。)が定める「医療機器プログラム」に該当する場合、同法の規制対象となり、研究・開発薬事申請・製造・販売・広告等、あらゆる局面において遵守するべきルールが異なってきます。そのため、「医療機器」の該当性判断を正確に行うことが極めて重要になってきます。また、本サービスは、疾病の検査を行うものですので、医師法17条の「医行為」に該当する可能性があります。

 

 

<解説>

1.医療機器プログラムの基本的な考え方

薬機法に基づき規制される医療機器プログラムは、①疾病の診断、治療、予防に寄与するなど、医療機器としての目的性を有しており、かつ、②意図したとおりに機能しない場合に患者(又は使用者)の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるプログラム(ソフトウェア機能)とされています。
そして、医療機器プログラムは、上記の目的を有する以下のいずれかのものが該当します。

  • インストール等(使用者にアクセス権を付与し、オンライン上で運用するものも含みます。)することによってデスクトップパソコン等の汎用コンピュータ又はスマートフォン等の携帯情報端末(以下「汎用コンピュータ等」という。)に医療機器としての機能を与えるもの
  • 有体物である医療機器と組み合わせて使用するもの(特定の医療機器(有体物)と組み合わせて使用するプログラムをいい、専用の医療機器(有体物)を起動、操作、あるいは専用の医療機器にインストールして使用するプログラムも含まれます。)

 

2.医療機器プログラムへの該当性

(1)該当性判断の方法

特定のプログラムが、薬機法上の医療機器に該当するか否かは、製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等に基づき、①当該プログラムの使用目的及び②リスクの程度が医療機器の定義に該当するかにより判断されます。使用目的が変われば、同じ機能を有するプログラムでも医療機器該当性の判断が変わる可能性があるため、事業者においてプログラムの使用目的は十分に検討する必要があります。

 

(2)①使用目的

以下を目的とする単一のプログラムは、プログラム医療機器に該当しないとされています。もっとも、これらは例示にすぎず、すべてのプログラムを網羅しているわけではないので、今後、事例が追加される場合があることに留意しなければなりません。

(ⅰ) 患者説明を目的とするプログラム

(ⅱ) 院内業務支援、メンテナンスを目的とするプログラム

(ⅲ) 使用者(患者や健常者等)が自らの医療・健康管理を閲覧等することを目的とするプログラム

(ⅳ) 生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるプログラム

 

(3)②人の生命及び健康に影響を与えるリスクの程度

医療機器プログラムについては、機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの(一般医療機器(クラスⅠ)に相当するもの)は、医療機器の範囲から除外されているため、該当性の判断に当たっては、この点を勘案する必要があります。
医療機器プログラムの使用者へのリスクについては、有体物にインストールされて使用可能な状態としたものを想定した上で、プログラム部分が製品の有効性・安全性に与える影響を考慮して、原則、GHTFクラス分類ルールに則って判定されます。

 

(4)貴社サービスの該当性

貴社サービスでは、疫病の検査を目的とし、能動型機器として原則クラスⅡに分類された、意図したとおりに機能しない場合に患者(又は使用者)の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるプログラムにあたる可能性が高いといえます。
したがって、医療機器プログラムに該当する可能性が高いと考えられます。

 

 

3.医行為該当性

(1)医師法17条について

医師法17条には、「医師でなければ、医業をしてはならない。」という定めがあり、その違反者は3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金という刑罰に処される可能性があります(同法31条1項1号)。そのため、本サービスが医行為に該当するかどうかを適切に判断する必要があります。

 

(2)「医行為」の定義と該当性

「医行為」については、医師法に明確な定義はありませんが、最高裁判所が令和2年9月16日に行った判決において、「医療及び保健指導に属する行為のうち,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」とされています。
そして、その判断方法については「当該行為の方法や作用を検討する必要がある」としたうえで、「方法や作用が同じ行為でも,その目的,行為者と相手方との関係,当該行為が行われる際の具体的な状況等によって,医療及び保健指導に属する行為か否かや,保健衛生上危害を生ずるおそれがあるか否かが異なり得る。また,医師法17条は,医師に医行為を独占させるという方法によって保健衛生上の危険を防止しようとする規定であるから,医師が独占して行うことの可否や当否等を判断するため,当該行為の実情や社会における受け止め方等をも考慮する必要がある。そうすると,ある行為が医行為に当たるか否かについては,当該行為の方法や作用のみならず,その目的,行為者と相手方との関係,当該行為が行われる際の具体的な状況,実情や社会における受け止め方等をも考慮した上で,社会通念に照らして判断するのが相当である。」としています。
このように、医行為に該当するかどうかの判断は、様々な事情を踏まえて、総合的に行われるものとなります。
そして、本サービスが、疾病の検査を行うためのものとすると、医師の医学的判断及び技術をもってしなければ、その判断が正確でなかった場合に、人体に危害を及ぼすおそれがあるとも考えられますので、サービス提供の仕方によっては「医行為」に該当する可能性があります。そのため、「医行為」に該当するリスクを踏まえ、提供の方法を慎重に検討する必要があります。

 

 

4.結び

以上のような、「プログラム医療機器」該当性判断及び「医行為」該当性判断には、専門的知識や事例の調査が必要となります。また、この判断はサービスを展開する上で極めて重要となりますので、専門家の意見を踏まえた緻密な検討が求められるといえます。

 

 

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