2021.04.30

eスポーツの展望と法的サポートの必要性

eスポーツの展望と法的サポートの必要性

執筆:弁護士 山本大介

 

 

1.今eスポーツが熱い!

 去る4月1日、東京eスポーツゲート株式会社が株式会社TOKYO TOWERとコラボレーションし、東京タワーの商業エリア約5,600㎡におよぶ一大eスポーツテーマパークを今冬オープンすることを発表しました(公式サイト:https://tokyo-esports-gate.co.jp/)。

 今やeスポーツの世界での競技人口は1億人を超え、観戦者は4億人に上るといわれています 。国内eスポーツファンの数は、2019年の483万人から2023年には1,215万人と大幅な成長が見込まれており 、経済産業省が一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)に委託して組織された「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」の報告によれば、2025年にはエコシステム領域における経済活動、波及領域を含めた市場規模は約3,000億円と試算されています 。このように、eスポーツは世界には後れをとっているものの、わが国においても着実に、かつ、急速に成長をみせる分野です。冒頭にご紹介した施設もその一環といえるでしょう。

 

 

2.なぜeスポーツなのか

 eスポーツの源流は「スペースインベーダー」(株式会社タイトー、1978年)やストリートファイターⅡ(株式会社カプコン、1991年)といったアーケードゲームにあります。このころには概ね、ゲーム制作会社がゲームを開発、販売し、ゲームセンターや喫茶店などの設置店舗がそれを購入し設置して、設置店舗にプレーヤーが集まるといった単純明快な構図でした。そして、それが家庭用ゲーム機の発売に伴いさらに身近なものとなり、ゲーム会社専属の著名プレーヤーが広告塔として登場したり、ゲームの腕自慢小学生が予選を勝ち抜いてテレビ番組で対戦するなど、サービスやコンテンツに広がりをみせることになります。

 そしてこれらがeスポーツとして成長を遂げた現在、経済産業省は以下のようにeスポーツに経済効果と社会的意義を見出しています。

 

経済産業省WEBサイト(※4)より引用

 

 元来、ゲームの周辺事業といえば、第1段落に述べたもののほかには攻略本の出版(※5)等が一般的でした。それが現在においては、ここまでの広がりを見せています。

 このように、eスポーツの世界には数多くの社会的意義とそれに伴うビジネスチャンスが潜在しているといえます。さらに、リアルスポーツ団体がeスポーツ大会の運営を行う例もあり(※6)、リアルスポーツの盛り上がりとの相関関係も認められるでしょう。今年行われた米国ゴルフのメジャー選手権「マスターズ・トーナメント」では、松山英樹選手が見事に優勝を果たしました。ゴルフゲームには、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「みんなのGOLF」シリーズや、先日シリーズの復活を発表した、エレクトロニック・アーツ社の「EA SPORTS PGA TOUR」があります。ゴルフ分野におけるリアルスポーツとeスポーツの今後の盛り上がりには期待せざるを得ません。

 

 

3.参入障壁を取り払う法的サポートの必要性

 日本は数多くの大ヒットゲームを世界に送り出しているにもかかわらず、eスポーツの分野では世界から後れをとっています。その理由の一つとして、国内法整備が十分でないことや、eスポーツの分野に詳しい法律専門家の数が少ないことが挙げられるでしょう。

 仮に、日本において海外のeスポーツ大会で多く採用されているモデルを用いて大会を主催することは、賭博罪、賭博開帳図利罪(刑法185条ないし186条)に該当するリスクがあり、その他、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)、著作権法なども問題となりえ、これら日本国内の法律に抵触することのない適法なビジネスモデルを構築する必要があります。「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」も、長期的な日本のeスポーツ市場の成長に向けた提言として、「法制度/ルール対応のハードル引下げ」を今後の課題として掲げていますが(※7)、現状としては、日本国内の各種法規制に従って運営するほかありませんし、経済産業省その他の官公庁から発表される最新のガイドラインをキャッチアップしなければなりません。

 また、eスポーツ大会を適正に運営するためには、適法性のみにとどまらず、一切の不正行為(チートやゲームの不具合を利用したグリッチなど)を防止する必要があります。日本esports促進協会(JEF)も、チート対策に力を注ぐべきである旨を提言しています(※8)(余談ですが、筆者自身、FPSゲームを楽しんでいたプレーヤーとして、こういった悪質プレーヤーには悩まされておりました。)。

 このように、eスポーツ大会事業を運営するには、適法なビジネスモデルの構築や、適正かつ公正な大会の開催のための規約の整備などいった数々の法務課題を乗り越える必要があります。

また、今後は出場選手側の立場から、所属団体との契約締結や、交渉の代理などいった法的ニーズも高まりをみせることでしょう。

 さらに、近時では、ゲーム内アイテムをNFT(Non-Fungible Token ノンファンジブルトークン。NFTとは、ビットコインなどの代替性のあるトークンとは異なる、代替性のないトークンを指します。詳しくは弊所の紹介記事をご覧ください。)として発行し、取得できるアイテムやキャラクターを「単なるデータ」にとどまらない新たな交換価値を備えたトークンとして位置付けたオンラインゲームがリリースされる(※9)などの動きがあり、今後、ブロックチェーン技術とeスポーツの融合が進むと予想されます。

 

 

4.おわりに

 以上eスポーツの歴史と、社会的意義、そして、法的障壁について概説いたしました。eスポーツ産業は、まだまだ「生まれたばかり」であり、ビジネスチャンスは無限大である一方、法的マターに対する対処に苦悩しているeスポーツ事業者もいらっしゃいます。弊所では、eスポーツ大会を開催する事業者や、ブロックチェーン事業を展開する事業者の双方についてサポート実績があり、ワンストップで対応可能です。今後の日本のeスポーツ事業を弊所とともに盛り上げていきませんか。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

以上

 


 

※1

オランダの調査会社『Newzoo』が発表したレポート「Global Esports Market Report 2019」より。

※2

株式会社KADOKAWA Game Linkage発表(令和2年2月13日、https://kadokawagamelinkage.jp/news/pdf/news200213.pdf)。

※3

「日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~」報告書概要(令和23月)(https://jesu.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/document_05.pdf

※4

https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190830001/20190830001.html 「別添eスポーツの経済効果と社会的意義」

※5

攻略本は、1983年にミニ・コミュニケーションの世界で発売されたゲーム攻略誌『ゲームフリーク』に端を発するともいわれています。出版者は後に「ポケットモンスター」シリーズを生むこととなる田尻智氏でした。

※6

国際サッカー連盟(FIFA) の「FIFAインタラクティブワールドカップ」(https://www.fifa.com/fifae/)、国内では、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の「eJ.LEAGUE」(https://www.jleague.jp/ejleague/)や、一般社団法人日本野球機構(NPB)と株式会社コナミデジタルエンタテインメント共催のeスポーツ大会「eBASEBALLプロリーグ」(https://e-baseball.konami.net/pawa_proleague/)などが挙げられます。

※7

「日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~」報告書概要(令和23月) https://jesu.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/document_05.pdf

※8

 https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20190625072/

※9

double jump.tokyo株式会社(運営:MCH株式会社)の「My Crypto Heroes」(https://www.mycryptoheroes.net/ja)など。