2020.06.16

外為法の改正による対日直接投資における実務上の留意点

外為法の改正による対日直接投資における実務上の留意点

弁護士 牧野 史晃

中国弁護士(Not admitted in Japan) 唐 紅海

 

「外為法」の短期間成立の背景には、欧米の対内投資規制強化の動きがある。とりわけ、対米外国投資委員会(CIFUS)の権限を拡大する外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)の2018年8月の成立、及び、2019年3月、欧州理事会による「EUに対する直接投資の審査制度を設立するためのEU規則」の承認である。本稿では、対内直接投資の定義、対内直接投資に関する事前届出・事後報告制度の概要、事前届出の対象業種と手続きを解説し、外為法の改正による対日直接投資における実務上の留意点を説明する。なお、本文中意見にかかる部分は、筆者の個人的見解である。

 

Ⅰ はじめに

 外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)は、1949年に制定された法律である。外為法は、日本と外国との間の資金や財(モノ)・サービスの移動などの対外取引や、居住者間の外貨建て取引に適用される。外為法1条によれば、外為法の目的は、「外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与すること」とされている。
 外為法は、2002年、2004年、2017年、2019年の4回に渡って改定されている。2017年では、以下の修正が行われた。

 

(1)特定取得の事前届出制対象への追加
国の安全を損なうおそれが大きい業種について、外国投資家による他の外国投資家からの非上場株式の取得を事前届出制の対象に追加した。

(2)事後措置命令の導入
無届出や虚偽届出により対内直接投資等を行った外国投資家等に対し、国の安全を損なうおそれがある場合には、株式売却等の措置命令を行うことができる制度を導入した。

 

また、2019年では、以下の修正が行われた。本稿では、当該2019年の外為法改正について説明する。

 

(1)取得時事前届出免除制度の導入
一定の基準の遵守を前提に株式取得時の事前届出を免除する制度を導入した。

(2)事前届出の対象の見直し
上場会社の取得時事前届出の閾値を10%から1%に引き下げたほか、役員への就任及び指定業種に属する事業の譲渡・廃止について、行為時事前届出を導入した。

(3)国内外の行政機関との情報連携の強化

 

 

Ⅱ 対内直接投資等の定義

1 対内直接投資等とは

 外為法26条2項及び対内直接投資等に関する政令2条16項1乃至7号によれば、対内直接投資等とは、外国投資家が行う、次の取引または行為をいう(日本銀行、「外為法Q&A」資料に基づき整理)。

(1)国内の上場会社(店頭公開会社を含む。以下「上場会社等」という。)の株式または議決権の取得で、それぞれ出資比率または議決権比率が1%以上となるもの。なお、この場合の出資比率及び議決権比率には、当該取得者と密接関係者である外国投資家が所有等するものを含む。

(2)国内の非上場会社の株式または持分を取得すること。ただし、発行済み株式または持分を他の外国投資家からの譲り受けにより取得する場合は除く。

(3)個人が居住者であるときに取得した国内の非上場会社の株式または持分を、非居住者となった後に外国投資家に譲渡すること。

(4)外国投資家が①国内の会社の事業目的の実質的な変更(当該会社が上場会社等の場合、外国投資家が総議決権数の3分の1以上を保有している場合に限る)または、②取締役もしくは監査役の選任に係る議案、③事業の全部の譲渡等の議案(②③については、当該会社が上場会社等の場合、外国投資家が総議決権数の1%以上を保有している場合に限る)について同意すること。

(5)非居住者個人または外国法人である外国投資家が、国内に支店、工場その他の事業所(駐在員事務所を除く。)を設置、またはその種類や事業目的を実質的に変更すること。

(6)国内法人に対する1年を超える金銭の貸付け(居住者外国投資家が行う本邦通貨による貸付けを除く。以下「金銭の貸付け」という。)であって、次のa及びbのいずれにも該当するもの。

a)当該貸付け後における当該外国投資家から当該国内法人への金銭の貸付けの残高が1億円に相当する額を超える。
b)当該貸付け後における当該外国投資家から当該国内法人への金銭の貸付けの残高と、当該外国投資家が所有する当該国内法人が発行した社債との残高の合計額が、当該貸付け後における当該国内法人の負債の額として定める額の50%に相当する額を超える。

(7)居住者(法人に限る。)からの事業の譲受け、吸収分割及び合併によって事業を承継すること(上記(1)乃至(3)の場合を除く。)。

(8)国内会社の発行した社債で、取得日から元本の償還日までの期間が1年超であり、その募集が特定の外国投資家に対してされるものを取得する(居住者外国投資家が行う本邦通貨をもって表示される社債の取得を除く。以下「社債の取得」という。)場合であって、次のa及びbのいずれにも該当するもの。

a)当該社債の取得後において当該外国投資家が所有する当該国内会社の社債の残高が1億円に相当する額を超える。
b)当該社債の取得後において当該外国投資家が所有する当該国内会社の社債の残高と、当該外国投資家から当該国内会社への金銭の貸付けの残高の合計額が、当該社債の取得後における当該国内会社の負債の額として定める額の50%に相当する額を超える。

(9)日本銀行など特別の法律に基づいて設立された法人の発行する出資証券の取得。

(10)上場会社等の株式への一任運用で、実質株式ベースの出資比率または実質保有等議決権ベースの議決権比率が1%以上となるもの。なお、この場合の出資比率及び議決権比率には、当該一任運用者の密接関係者である外国投資家が所有等するものを含む。

(11)他のものが直接に保有する国内の会社の議決権の行使につき当該他のものを代理する権限を受任すること(以下「議決権代理行使受任」という。)及び、次のaまたはbに該当するものをいう。ただし、以下のbの(イ)乃至(ハ)のいずれにも該当するものに限られる。

a)上場会社等の議決権に係る議決権代理行使受任であって、当該議決権代理行使受任の後における受任者の実質保有等議決権ベースの議決権比率が10%以上となるもの。なお、この場合の議決権比率には、当該受任者の密接関係者である外国投資家の実質保有等議決権を含む。
b)非上場会社の議決権に係る議決権代理行使受任であって、他の外国投資家以外から受任するもの。
(イ)受任をするものが、当該会社またはその役員以外のものである場合。
(ロ)受任によって得た権限を用いて議決権行使を行おうとする議案が、次のいずれかに該当する場合。
 イ 取締役の選任または解任
 ロ 取締役の任期の短縮
 ハ 定款の変更(目的の変更に係るもの)
 ニ 定款の変更(拒否権付株式の発行に係るもの)
 ホ 事業譲渡等
 ヘ 会社の解散
 ト 吸収合併契約等
 チ 新設合併契約等
(ハ)受任をするものが自己に議決権の行使を代理させることの勧誘を伴うもの。

(12)議決権行使等権限の取得であって、当該取得の後における取得者の実質保有等議決権ベースの議決権比率が1%以上となるもの。なお、この議決権比率には、当該取得者の密接関係者である外国投資家の実質保有等議決権を含む。

(13)個人が居住者であるときに取得した国内の非上場会社の議決権を、非居住者となった後に外国投資家に当該議決権の行使につき代理する権限を委任すること。ただし、上記(11)の(イ)及び(ロ)のいずれにも該当するものに限られる。

(14)共同して上場会社等の実質保有等議決権を行使することにつき、当該上場会社等の実質保有等議決権を保有する他の非居住者である個人または法人等の同意の取得であって、同意取得者が保有する実質保有等議決権の数と当該同意取得の相手方が保有する実質保有等議決権の数を足し合わせた実質保有等議決権ベースの議決権比率が10%以上となるもの。なお、この議決権比率には、当該同意取得者の密接関係者である外国投資家と当該同意取得の相手方の密接関係者である外国投資家の実質保有等議決権を含む。

 ここで強調したいのが、上記(2)で述べたように、発行済みの国内の非上場会社の株式または持分を外国投資家が他の外国投資家から譲り受けるのは特定取得にあたり、対内直接投資等には該当しない。本稿では、対内直接投資について中心に取り上げるため、ここでいう特定取得に関する説明は省略する。なお、特定取得に該当する場合であっても別途事前届出が必要になることは留意されたい。

 

対内直接投資等の定義からわかるように、範囲が広く、一般的な投資という概念以外に、支店、工場その他の事業所の設置、一定の条件に満たされる貸付及び社債の取得も含まれている。定義の用語は、「対内直接投資」ではなく、その後ろに「等」をつけた深意がわかる。
 また、対内直接投資等の定義を理解するのに、その主語となる外国投資家を特定する必要がある。

 

2 外国投資家とは

 外為法26条1項によれば、外国投資家とは次の主体である(日本銀行、「外為法Q&A」資料に基づき整理)。

(1)非居住者である個人。

(2)外国法令に基づいて設立された法人その他の団体または外国に主たる事務所を有する法人その他の団体(これらの法人その他の団体の在日支店を含む。)(下記(4)に該当するものを除く。)。

(3)上記(1)または(2)に掲げる者により直接または間接に保有される議決権の合計が 50%以上を占める会社。

(4)投資事業を営む組合や投資事業有限責任組合などであって、非居住者等からの出資の割合が総組合員の出資の金額に占める割合が50%以上の組合または、業務執行組合員の過半数が非居住者等で占められている組合。

(5)非居住者である個人が役員または代表権限を有する役員のいずれかが過半数を占める本邦の法人その他の団体。

(6)これら(1)乃至(5)以外の者であっても、外国投資家のために当該外国投資家の名義によらないで、対内直接投資等又は特定取得を行う場合は外国投資家とみなされる。

外国投資家についての定義は、一見大変抽象的な概念であり、その外延が分かりづらい。他方、日本国財務省が2020年4月24日に公布した「外国為替及び外国貿易法の関連政省令・告示改正について」資料(以下、「財務省資料」という。)において、外国投資家の定義をわかりやすく説明されているため、以下の図表を参照されたい。

 

【図表1】外国投資家の範囲

 

 外国投資家に該当するかを判断するにあたり留意すべき事項は、少なくとも次の2点がある。 まず1点目として、外国法人が、日本国内に子会社を設立し、当該子会社を通じて投資を行う場合であっても、当該子会社の株式の50%以上を外国法人が有している場合や、非居住者が役員の過半数を占める場合は、当該子会社も外国投資家となる点である。外国投資家に該当するか否かは地理的な問題だけでなく、ビークルに対する意思決定について非居住者又は外国企業が支配権を有しているかという実質面も重要となることについて留意する必要がある。
 2点目として、日本国内で組成されたファンドに外国法人等がLP出資している場合である。当該外国法人等の出資金額がファンドサイズの50%未満であれば特段問題ないが、その場合であっても、事後的に外国法人等がファンドによるキャピタルコールに応じた結果、出資金額が50%の閾値を超えることも想定される。この場合、ファンドが外国投資家となるため、その後の出資業務に大きな支障をきたす。そのため、ファンドにおいて業務執行組合員として営業する者は、外国法人等から出資を受ける際は出資約束金額の設定についても十分留意する必要がある。

 

 

Ⅲ 対内直接投資に関する事前届出・事後報告制度の概要

 外国投資家が対内直接投資等を行う場合は、手続き不要のものを除いて、日本銀行を経由して財務大臣及び事業所管大臣に、(1)取引または行為を行なう前に届け出る(以下、「事前届出」という。)あるいは、(2)取引または行為を実際に行なったあとで報告する(以下、「事後報告」という。)必要がある。
 対内直接投資等の事前届出または事後報告を行う届出者または報告者となるのは外国投資家である。外国投資家が非居住者の場合は、居住者である代理人が行う。なお、届出書または報告書への委任状の添付は不要とされている。

 

 

Ⅳ 事前届出の対象業種と手続き

 対内直接投資等の事前届出となるのは、次の(1)、(2)及び(3)のいずれかに該当する場合である

(1)外国投資家の国籍または所在国(地域を含む。)が日本及び対内直接投資等に関する命令(以下「対内直投令」という。)別表第1に掲載の国以外のもの。

(2)投資先が営む事業に指定業種に属する事業が含まれるもの(事前届出免除制度を利用した場合を除く。)。

(3)イラン関係者により行われる、次の行為に該当するもの。
a)安保理の事前承認により許可することが可能となるイランによる投資業種を営む会社の株式又は持分の取得。
b)安保理の事前承認により許可することが可能となるイランによる投資業種を営む上場会社等の株式への一任運用。
c)非居住者である個人が非居住者となる以前から引き続き所有する上場会社等以外の会社(安保理の事前承認により許可することが可能となるイランによる投資業種に属する事業を営む会社に限る。)の株式又は持分のイラン関係者に対する譲渡。

 

1 事前届出の対象業種

 事前届出が必要となるかにあたり、最も問題となるのは上記(2)である。
 そのため、如何なる場合に事前届出が必要かを検討するにあたり、以上の指定業種を理解することは大変重要である。

 

 指定業種は、対内直投令3条3項の規定に基づき財務大臣及び事業所管大臣が定める業種を定める件(以下「指定業種規定」という。)により定められ、別表第1乃至第3の形で公開されている。なお、指定業種のうち武器や原子力等、国家安全保障の観点で慎重な取り扱いが求められるものは、いわゆるコア業種として取り扱われる。コア業種に該当する事業を営む企業へ投資する場合、事前届出の免除を受けるための制度利用に際し必要とされる基準が上乗せされることもある。今回の外為法改正を理解する上でコア業種及び事前届出制度免除の概念は重要ではあるが、本稿ではこれらについて説明を省略する。

 

 指定業種は全部で155業種に及ぶため、その一つ一つについて本稿で解説することはできないが、指定業種の概略については、以下の財務省資料がわかりやすい。

 

【図表2】指定業種概要

 

 以上のように、指定業種は広範に及ぶため、外国投資家としては、自らの投資先が指定業種に該当するのかについての検討が重要となる。この点、投資先が上場企業である場合は、指定業種を営んでいるかをまとめた銘柄リストが財務省から公表されるため、それを参考に事前届出を要する投資先かの判断をすることとなる。但し、銘柄リストは法令上の定めに基づいて策定されるものではない。そのため、上場企業によっては外部公表していない新規事業において指定業種を営んでいる可能性等もあり、それが投資後に発覚した場合、外国投資家が事前届出懈怠の責任を負うかは定かではない。
 他方、非上場会社に対して外国投資家が投資するにあたっては、外国投資家自ら当該非上場会社の事業が指定業種に該当するかを判断する必要がある。この判断にあたっては、経済産業省の安全保障貿易管理ウェブサイト内に掲載されている貨物・技術のマトリクス表や、総務省が提供する日本標準産業分類が参考になる。外国投資家としては、自らの判断で投資先が指定業種を営んでいるかを判断しなければならないため、デューデリジェンス等を通じて投資先が有する情報を適切に収集する必要がある。また、収集した情報からでは指定業種を営んでいるかの判断が困難な場合は、事業所所管省庁に対する電話照会も有用である。
 なお、今回の外為法改正に伴い、サイバーセキュリティ業種関連については、指定業種の範囲が拡大されるに至った。その概要については、以下の財務省資料を参照されたい。

 

【図表3】サイバーセキュリティ関連業種の指定業種範囲

 

 特に、スタートアップ企業と呼ばれる非上場会社においては、図表3にて列挙されているサイバーセキュリティ関連業種を営んでいることが少なくない。そのため、外国投資家が日本国内のスタートアップ企業に投資する場合、多くの場合で事前届出が必要になることに留意する必要がある。
 もっとも、以下の(1)及び(2)のいずれかに該当する場合は指定業種に該当しない。

(1)指定業種規定別表第3に掲げる業種に付随して同一法人内で実施するソフトウェア業、情報処理サービス業、インターネット利用サポート業

(2)指定業種規定別表第3に掲げる業種のみを営む親会社や、その親会社の子会社(別表第三事業のみを営むものに限る。)のために実施するソフトウェア業、情報処理サービス業、インターネット利用サポート業

 また、事前届出を行うかを検討するにあたっては、投資先の関連企業が行う事業の指定業種該当性についても検討する必要がある。そのため、投資先の国内子会社や投資先が50%の持分を有するジョイントベンチャー等が営む事業が指定業務に該当する場合は、事前届出の対象となることに留意が必要である。

 

2 事前届出の手続き

事前届出は、取引または行為を行おうとする日の前6か月以内に、対内直接投資等に関する命令に定められた様式により、日本銀行を経由して財務大臣及び事業所管大臣あてに行う必要がある。
 また、事前届出の対象となる取引については、財務大臣及び事業所管大臣が当該届出を受理した日(以下、「届出受理日」という。)から起算して30日を経過する日までは、当該届出に係る対内直接投資等を行ってはならないとされている(外為法27条2項)。但し、禁止期間は通常、届出受理日から2週間に短縮される(対内直接投資等に関する命令10条2項1号)。
 ここで、留意すべきは、対内直接投資等の事前届出が必要であるに関わらず、見過ごして届出を怠ると刑事罰の対象となることである。外為法70条1項22号によれば、届出の懈怠につき、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科とされている。
 また、外国投資家による上場会社の株式取得における事前届出の要否については、以下の財務省資料内のフローチャートを参照されたい。

 

【図表4】株式取得時事前届出のフローチャート(上場会社)

 

 一方、外国投資家による非上場会社の株式取得における事前届出の要否については、以下の財務省資料内のフローチャートを参照されたい。

 

【図表5】株式取得時事前届出のフローチャート(非上場会社)

 

 図表5のフローチャートに記載されているように、対内直接投資等では、出資比率等の基準に密接関係者である外国投資家の分を含むとしている。しかし、密接関係者とは具体的に何を指すのかが次に問題となる。この点、密接関係者の定義は、非常にわかりにくく、概要を整理すると、対内直接投資等を行う者と永続的な経済関係、親族関係その他これらに準ずる特別の関係にあるもの(外国投資家に該当する者に限る。)とされている。
 密接関係者の定義については、以下のように財務省の資料にてその詳細が整理されている。

 

【図表6】「密接関係者」の定義

 

 

Ⅴ おわりに

 今回の外為法の改正は、アクティビスト封じとの見方が世間ではされているが、日本政府はそれを否定しているところではある。ただ、アクティビスト封じが目的かどうかはさておき、外国投資家へ新たな影響を与えたことは間違いない。投資を受ける上場企業においても、株主との対話については保有する株式の割合に応じて濃淡をつけるのが通常であるから、1%しか保有しない株主についても従前10%保有していた株主と同様のエンゲージメントを求められるのは、各上場企業内において工数の大幅な上昇をもたらす。
 また、今後コロナウィルスの影響が世界的なマクロ経済に及んだ場合、外国の機関投資家としては投資戦略としてコロナウィルスの影響の程度という地政学的な要素を織り込む可能性もある。その場合は、シリコンバレー、イスラエル、深圳といった従来のコアエリアの図式が大きく塗り替えられる可能性も低くはない。仮に日本がコロナウィルスの影響が少ないセーフティエリアと位置づけられるようになった場合は、外国投資家による国内ベンチャー投資の件数が飛躍的に上昇することも考えられる。もちろん、日本には日本のベンチャー投資のカルチャーがあるため、まずは国内ベンチャーキャピタルに対してLP出資の形で参加することも考えられよう。
 そのような際に、外為法の事前届出等がイノベーション推進の大きな抑止にならないようにすべきである。少なくとも、非上場企業と関連する対内直接投資においては、事前届出後の禁止期間の運用等のスリム化が求められてもいいのではないだろうか。