グローバル情報

弁護士 恩田 俊明/Toshiaki Onda

 


「VR/AR元年」とも言われた2016年を境に、拡張現実(AR)やバーチャルリアリティー(VR)を巡る多くのコンテンツやサービスがリリースされています。そこで今回は、ARにおける法務問題の一例について簡単にご紹介します。

 

 

img_VR-1

 


ARを巡っては、世界中で社会現象化したARゲームを開発したナイアンテック社が、新たなゲーム開発に乗り出していることが報道されています。リアルな街並みとゲーム画面とが融合することで、ARのもつワクワク感が体現できるようになっています。


ちなみに、ARゲームを楽しんでいる際、画面上に道路沿いに並ぶ店舗のポスターなどが映り込んでしまうことがあります。このような画面をキャプチャしてゲームの宣伝用画像として使う場合、ポスターの画像が映り込んでしまうことについて、何か法的な問題はないのでしょうか?


ポスターに掲載されている文章やイラスト、画像は著作物として著作権法の保護を受ける可能性があります。著作物となると、著作権者の許諾なく勝手に複製したり加工したりすることができなくなってしまいますが、ただそうなると、たくさんの著作物で溢れている街なかを写真などで撮影した場合、その写真を利用する場合、移っている全ての著作物の権利者に許諾を得なければならなくなってしまいます。


そのような不都合を回避するため、著作権法では一定の例外を設けています。写真に写り込んでしまっていて、写真全体から切り離すのが難しいような著作物に代表される著作物については「付随対象著作物」と呼んで、権利者の利益を不当に害さないような使い方であれば、許諾なく複製や加工(翻案)ができる、と規定しました。この例外規定を適用することで、AR技術を使ったゲームのデモ画面などを作成する際に、多くの著作権者からの許諾を受けなければならない、という不都合を回避することが出来るようになっています。


ただ、付随著作物として自由に複製や翻案ができる著作物の範囲は限定的で、「権利者の利益を不当に害さない」かどうかも個別の判断が必要になってきてしまいます。現在文化庁では、新しい技術が生まれ発展することにともなって、既存の著作物の利用が円滑に行えるようにする方向で議論が重ねられており、新しい著作物利用のルールに関して、早ければ年内にも法改正案が提示されるとも言われています。今年は著作権をめぐる新たなルールについて、活発な議論が交わされるかもしれず、大いに注目したいところです。

 

 

img_VR-2

 

 

お問い合わせ

お気軽にご連絡ください。当事務所はベンチャー企業を支援しております。
初回法律相談(30分)は無料です。

Copyright © Gvalaw.jp All rights reserved.

TOP