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2018.1.18
ベンチャー法務・グローバル情報タイ法務

タイの商標権~マドリッド制度加盟~

弁護士 藤江 大輔/Daisuke Fujie

 

■ はじめに


2017年8月7日、タイ政府が商標の国際登録に関するマドリッド協定議定書(プロトコル)へ加盟し、タイはマドリッド制度の99番目の締約国となりました。そして、この議定書が2017年11月7日から発効した結果、現在タイでは「マドリッド制度」が利用できるようになり、いわゆる「マドリッドプロトコル(マドプロ)出願」ができるようになりました。

 

 

■ マドプロ出願とは?


マドプロ出願とは、商標の国際登録出願手続きのことです。

外国で商標の登録を受けることを希望して出願する場合、通常であれば、それぞれの国で個別に出願手続きを行う必要があります。しかし、マドプロ出願ができる国については、日本の特許庁経由でWorld Intellectual Property Organization(通称:WIPO)に対して出願手続きを行うことができ、日本国特許庁に提出する一つの願書で複数国に一括して手続きを行うことが可能になります。

 

これまでタイでは、商標出願はタイの特許庁にタイ語で申請する必要がありました。せっかく日本で商標を取得していても、タイでは制度が連結していないので、1から商標出願手続きをしなければならないわけです。そのため、企業は非常に煩雑な負担をしなければなりませんでしたが、それがマドプロ出願によって大きく改善されることになります。

 

各国へ直接出願する場合と、マドプロ出願の場合での違いは、以下のようなフローに表すことが可能です。

 

 

タイコラム第6弾画像②

 

 

■ 関連する法改正


マドプロ加盟に先立って、タイでは2016年7月にはマドプロに対応できる形で商標法の改正が行われました。改正は多岐に渡りますが、以下の点が重要なポイントとして挙げられます。なお、日本からマドプロ出願する場合ではなく、タイ国内で商標出願する場合についての制度変更です。

 

(1)連合商標登録制度の廃止

連合商標登録制度とは、出願する商標が、自身の登録済みまたは審査中の商標と同一又は類似していた場合に、「連合商標」という形で一括りにしなければならないという制度です。連合商標として登録されると、個別の商標の譲渡ができなくなってしまい、一連の商標単位で処分しなければならないとされていましたが、今回の改正でそれがなくなりました。

 

(2)出願多区分制の導入

これまでタイでは、商標出願する時には、区分毎に1つずつ商標を出願しなければなりませんでした。例えば1つの商標を3区分の指定商品又は役務に対して出願する場合、合計3件の商標を出願する必要があったわけです。これが改正され、日本と同じように、1つの商標を1件にまとめて複数の区分に渡る指定商品又は役務に対して出願することができるようになりました。

 

(3)音商標の導入

日本でも既に導入されていますが、タイでも音の商標(音商標)が認められるようになりました。音商標を出願する場合には、書面による詳細な音の説明に加え、登録したい音がどのような種別の音なのか(人間の音声なのか、音楽の一部なのか等)を指定しておく必要があります。

 

マドプロ加盟により、タイにおいて商標出願するケースは増加してくるものと思われます。海賊品等が広く出回っているタイですが、だからこそ権利を登録しておくことに意味があります(権利がなければ主張もできません)。是非この制度を活用して、タイでの自社商標を保護することをご検討下さい。

 

 

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