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2016.11.24
ベンチャー法務

ベンチャー企業が注意すべき情報管理

弁護士 恩田 俊明

■ 社内外で気を付けるべき情報管理


ベンチャー企業のビジネスモデルは、既存のビジネスモデルを破壊したり、革新的なサービスを提供するもので、自社のもつ情報を知的資産としてビジネスに活用する重要性が特に高いといえます。そのため自社のもつ情報管理に気を配る必要性が高く、また、他社からのいわれのない情報流出の警告などもあり得ます。

 

そこで今回はベンチャー企業が注意すべき情報管理について、簡単にご紹介します。

 

 

■ 対外的な情報管理


潜在顧客への営業活動や業務提携先との打ち合わせなどで、自社がもつ重要な情報を相手に開示しなければならない場合はままあります。ただ、相手に魅力的な提案をするための情報であればあるほど、その情報を相手に流用されてしまうリスクも高いといえます。

 

また、新規に開発した技術やデザインについて、これを無防備に相手に知らせてしまうと、後に特許権や意匠権といった知的財産権取得のための要件である「新規性」を失ってしまうことにもなりかねません。

 

そこでこれらの事態を予防するために重要となるのが、秘密保持契約(NDA)の締結です。

NDAは契約当事者双方が提供する情報を相互に管理し、外部に漏らさないことを誓約する内容の契約です。比較的定型的・形式的に作成された雛形が用いられることも多いのですが、秘密にしたい情報やその情報が有している価値は千差万別です。

 

そのため、情報の範囲や当事者、契約期間やペナルティ(損害賠償等)などの個々の条項について、正確な検討を行うことが重要になってきます。

 

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■ 社内対応としての情報管理

 

社内における情報管理で最も重要といえるのは、社外への情報漏えいの防止です。

特に技術系ベンチャーの場合、他社に見られない独自の技術が事業のコアとなるにも関わらず、その技術(あるいは技術者)が社外に流出してしまえば、事業継続が困難になる事態すら想定されます。

 

技術的な側面からいえば、情報のセキュリティレベルを高めることで技術流出に備えたり、BYOD(※)におけるルール作りをするといったことは勿論ですし、実際多くの企業でも個々に対策を講じていると思います。

※「Bring Your Own Device」(自分のデバイスを持ち込む)の略

 

一方この問題を法的問題と捉える場合、大きく分けて労務的・民事的・刑事的側面があるといえます。

労務の面でいえばまず、社内での待遇に不満を持つ技術者が、競合他社に移籍する際の「お土産」として情報を漏えいするパターンが想定されます。こういった事態を回避するため、個々の技術者を適正に評価できるような人事システムを構築したり、技術者に対してストックオプションを付与するなどして自社で働くことへのインセンティブを与えることが想定されます。

 

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民事的・刑事的な観点からは、不正競争防止法(不競法)という法律を知っておくことが重要です。この法律では、不健全な事業者間競争が行われないようなルールが規定されており、一定の重要な営業秘密を民事上・刑事上の側面から保護する法律として近年注目されています。

 

今年に入って施行された改正法では、「違法に取得した情報を利用していないこと」を漏えいのおそれのある事業者に証明させることで、情報を漏えいされた事業者が損害賠償を請求しやすくしました。また、漏えいした(させた)情報を取得した者や転得した者に対する刑事罰の対象が広がりました。


実際には従業員等に対し、入社時と退職時に「秘密情報を漏えいしない」という内容の誓約書を作成してもらうことが多いと思いますが、特に退職時には誓約書作成が難航しがちです。そこで誓約書による法的拘束と不競法をうまく使い分けられるよう、不競法で保護されるだけの情報管理体制を整備することがより重要になってきます。

 

 

■ 他社からの攻撃に対する防御


ある日突然「御社の技術は、うちの情報を流用したものに違いない」などと警告を受け、うまく反論することが出来ず、最悪の場合何らかの法的責任を取らざるを得ないような事態もあり得ます。また、自社オリジナルだと思っていた技術やデザインとそっくりな内容を他社もほぼ同時期に採用していた場合、せっかくの知的財産の権利化が難しくなってしまう場合があります。

 

このような場合に自社を守る手段として昔から使われているのが、「確定日付」という仕組みです。

これは公証役場という公的機関で情報が化体されている紙やデータにタイムスタンプを付与してもらう制度で、この確定日付には公的な証明力が付与されます。1分1秒単位で新規性が要求される知財の分野では、特に確定日付のような形式ばった手段がよく使われています。

 

これまで述べてきたように、情報管理をめぐっては様々な法的観点が必要になってきます。日頃からの準備が重要になってくる部分も多く、我々も随時情報提供ができればと考えております。

 

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